複合材料や傾斜機能材料など微構造を制御した先進材料の開発や部材設計では,材料の機械的性質や強度特性が微構造の何に起因して発現するかを解明することが重要です.たとえば,日本刀は平安時代から日本固有の伝統技術で作られてきた工業製品で,日本刀の作刀技術と多重微構造が西洋の刀にはない「刀としての強さ」「マグナムにも負けない強靭さ」を支えています.日本刀の作刀技術は,機械工学でいう工業製品の「表面改質」として現在の工業製品に応用されています.また,人体の骨のような生体の疾病原因や予防法の解明では,疾病を発現する生体構造や微構造因子は何かを解明することが重要です.
研究室では,ミクロ特性とマクロ特性を結び付ける研究を行っています.対象材料の中心はセラミックス材料と鉄鋼材料,生体材料などで,研究対象としている特性は部材や生体骨などに働く応力や残留応力と,強度および破壊挙動です.微構造のモデル化技術やミクロ特性とマクロ特性を結び付ける力学を確立することによって,先進材料の評価や設計,日本刀の強さのメカニズム解明や生体骨の疾病メカニズムの解明に役立てようと日々研究を重ねています.また,近い将来,所望の特性を有する材料を微構造から設計できるようになると考えています.